2013年3月16日土曜日

DeNAで教わった「Delightの精神」


3月4日、SMSリワードサービス「Candy」β版をローンチいたしました。
(フィリピン国内でのみ使えます)




β版というよりも、ティザーサイトに近いかもしれません。
かなり機能を抑えたもので、 ローンチ後はユーザーの反応を見ながらチューニングを行い、KPIを追いながらサービス/デザインの改善を繰り返す予定でした。


ところがローンチ前と後で、世界が変わりました。


ユーザー数が数百人を超えたあたりから、一気に口コミが広がり、想定を遥かに超える数の会員登録がありました。
その結果、ローンチから13日でユーザー数が1万人を超えました。




私たちのサービスを世の中に出してから2週間を経たずして1万人以上のユーザー様に受け入れてもらえた事実は大変嬉しいのですが、正直、我々の見込みが甘かったです。


想定外の事態により、多くの課題が発生してきます。


最初に起きた障害は、携帯会社(キャリア)からの制約。

3つのキャリアのうち2つのキャリアには一日あたりの通信量に制限をかけられており、はっきり言って使い物にならないレベルだとわかりました。
どちらも技術的に解決可能ですがそれなりに対応工数が必要であるため、残念ながら2キャリアの会員登録を停止いたしました。


次に、インターネットの通信速度。

私たちはフィリピンの都市部にいるとはいえ、インターネットの速度は決して速いとは言えません。
全ての処理をクラウド上で処理できれば問題にならないのですが、現地のSMSを活用している都合上、ローカルに一部機能を持たせる必要があります。
その結果、レスポンスがかなり遅延する事態が発生しました。

レスポンスが遅れるとユーザー様からの問い合わせも増え、悪循環に陥っていたことから、最後の1キャリアの会員登録も一日あたりの上限を設けることにしました。



私たちの甘さが起因となり機会損失を多く発生させてしまいましたが、それ以上に、ユーザー様の期待に十分応えることができず、大変申し訳なく思っております。



そんな矢先、DeNA時代の上司からメッセージが届きました。
会員数が順調に伸びている、ということをお伝えしたところ、


「深田が思っている世界はきっとまだまだまだまだ先のことだろうから、
登録してくれたユーザ一人ひとりを愚直に大切に事業を育てなね。」


と言葉をいただき、ハッとしました。


DeNA時代、営業でもマーケティングでも企画でも、全てにおいて「数値管理」が重要になります。常にKPIを追い続け、改善し、日次で重要項目を管理していました。


それと同時に、「サービスの向こう側」にいるユーザーのことを常に考えなさい、と教えられていました。
DeNAで最も大事にしている姿勢は「Delight」であり、下記のように記されています。


■デライト(Delight)
顧客のことを第一に考え、感謝の気持ちをもって顧客の期待を超える努力をする
(参考:DeNA コーポレート・アイデンティティ

サービスを世の中に出すと、本当にそれが顧客に受け入れてもらえるのか、すごく不安になります。そのため、当然自分たちのサービスが受け入れてもらえるように、必死になります。事業計画に対して今何%で推移しているのか、達成できるのか、できないならばその要因はなにか、どうすれば課題を潰せるか、選択肢はいくつあるのか、いつ実行できるのか、などなど、あらゆる手段を考え、実行し、コミットした目標を達成するために必死になります。


そうなってくると、 頭の中は数字数字数字、、、になりがちなんです。少なくとも私は、直近はひたすらユーザー数とCPA(コスト)ばかりを意識していました。



でも、それだけじゃだめなんです。
ユーザー様一人ひとりのことをもっともっと考え、彼らの期待にきちんと応えることができるサービスを作らないといけないし、もし今できないなら、ちゃんと誠意を持って対応しなければならない。サービスを成立させているのはユーザー様であり、私たちではないんです。


また、そもそもたった1万人で喜んでいてはだめなんです。
フィリピンの人口は9600万人。0.1%にも達してない。
世界銀行の報告だと、フィリピンの貧困率は41%。
サービスを開始してから2週間も経っていませんが、インパクトがまだまだ足りない。もっともっと大きくて価値あるサービスに育てていくためにも、まず目の前にいるユーザー様一人ひとりの期待に応えていくことが大切なんです。



そういった、「当たり前」のことを改めて認識することができました。
本当に大きくて価値あるサービスを創造していくためには課題が多く残っていますが、DeNAで教わったDelightの精神を忘れず、日々進めて参ります。


大切なタイミングで、いつも大事なことを教えていただいています。
会社を離れてからも、こうして激励いただけることは本当に勇気づけられます。
Shinさん、ありがとうございました。

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