2013年11月17日日曜日

台風30号の被害に関する弊社支援活動に関しまして

(2013年11月17日9AM追記あり)
(2013年11月17日11PM追記あり)

深田@フィリピン・マニラです。


このたびは台風30号の被害について、多くのご連絡をありがとうございました。
フィリピンの首都圏、マニラは台風の被害はほとんどありませんでした。
街全体にも大きな混乱はなく、日常が続いている状態です。



今回の災害が起きてから、ずっと考えていました。



フィリピンで暮らし、フィリピンで仕事をしている日本人として、
いったいなにをするべきか。なにをすることができるのか。


東日本大震災を経験した日本人だからこそ、できることがあるはずです。



2011年3月11日の夜、多くの方がテレビで情報を得ながら、
Twitterなどで震災の情報、交通情報、政府の対応などを確認していました。
私の妻は仙台出身ということもあり、数日間仙台に暮らす家族と連絡がつかず、
電話で無事の連絡を受けるまではずっと不安と緊張が続いていました。
その後も、被災地では復旧情報や支援物資の配給場所・時間など、
携帯電話を活用して必要な情報をやり取りされていました。


このように、大きな災害が起きた時、携帯電話で連絡を取り合えることは、
支援する側・される側とともに、とても大切な手段となっています。


当時の私はモバイルサービスを展開する大手IT企業に勤めていたこともあり、
改めて情報通信サービスの普及に感謝しました。



しかし、フィリピンの中部を襲った大型台風30号「ハイエン」による被災地では、
1週間が経った今でも携帯電話が十分に使える状態ではなく、深刻な状態が続いています。


不安定な通信回線、バッテリー切れ、携帯水没、なども大きな要因の一つですが、
被災地全体で問題になっているのが「通信料金の不足」です。


フィリピンに普及している携帯電話の95%はプリペイド携帯(※事前に通信料金を購入・チャージしてから通話やメールを行う携帯電話)なのですが、
被災地では通信料金を販売しているお店もなくなり在庫もない状態であるため、
携帯残高が不足して被災地から発信することが難しい状態になっています。
※通信料金がなくても通話・メールを受信することはできます。



プリペイド携帯に料金をチャージしている男性。(12 年8月、セブ市にて撮影)


フィリピンで暮らした経験がある方であれば、
「ロード(※携帯電話の通信料金)が足りなくて連絡できなかったの、ごめんね」
という言葉をフィリピン人から一度は聞いたことがあると思います。
被災地ではずっとロード不足が続いており、連絡を取り合うことができません。



そんな中、11月13日にフィリピン国内の大手通信事業者各社(Smart, Globe, Sun)が、
以下の支援内容を発表しました。


Smart, Sun, Globe offer 25 free local and int’l SMS to Eastern Visayas, northern Cebu subscribers(現地紙、philstar.com)



被災地の人々に対して
「一日あたり25通分のSMS(ショートメッセージ)を無料にする」
という取り組みです。
11月13日から17日の5日間行われます。


通信事業者が最初から25通✕5日=計125通分の無料ポイントを配らないのは、
フィリピン人の多くは「もらったらすぐに使い切る」傾向が強いため、
毎日SMSを送れる状態を提供するためだと思われます。


しかし、これでは18日以降はまた人々は携帯電話から発信できなくなってしまいます。




そこで、私たちは以下の支援活動を行うことを決め、11月15日に発表いたしました。


YOYO Holdings フィリピン台風被災者へ携帯料金を提供  (PDF, 155KB)



私たちはフィリピン内でリワードプラットフォームサービス「Candy」を運営しており、
会員がパソコンや携帯からアンケートへの回答や文字入力作業などを行うと
プリペイド携帯に通信料金を配布する独自システムを構築しています。

また、フィリピン全体で5万人の会員を抱えており、
彼らの住む地域なども含めた会員情報を把握しております。

今回の災害を受け、弊社が所有するフィリピン全土の会員情報と通信技術を活かし、
台風 30 号の被災者にプリペイド携帯電話の通信料金を直接お届けいたします。


弊社はまだまだ小さな会社であり、
被災地に対して金銭的な支援をすることが難しい状態ではありますが、
弊社として実現できる取り組み方を議論した結果、
上記のような活動を実施することにいたしました。

本取り組みを進めるにあたり、
フィリピンの税法や会計処理、許認可の取得などの課題が出ておりましたが、
どうにか実現できる手段を見つけることができました。

税法の問題でどうしても12%の付加価値税がかかってしまうのですが、
いただいた金額の88%を人々に直接届けることができるのは、
他の支援方法よりも効果的な支援なのではないか、と思っています。
(たとえば100円分の寄付をした場合、運営費や運送費など多くのコストが介在するため、被災地には100円分の物資が届かないと思います。とはいえ、赤十字をはじめとした各種支援活動や物資の配給は不可欠で、そのような活動に多くの資金が必要なことは言うまでもありません。また、彼らの多くは集めた寄付金を有効に活用してる、とも思っています。)



(2013年11月17日9AM追記)
付加価値税に関する計算ですが、正しくは
一口500 PHPの場合、 500PHP/1.12 = 446PHP が被災者の手元に直接届きます

(2013年11月17日11PM追記)
日本から日本円でご支援いただく場合、
通常はフィリピンへの海外送金に伴う手数料が発生してしまいます。
そのため、弊社では上記に関する手数料を少しでも減らし、
多くの方からお気軽にご支援いただくために、
現在Paypal口座を開設中でございます。




レアジョブCEOの加藤さんのブログにも書いてあるメッセージにもありますが、
私たちも一民間企業としての本分を忘れず、フィリピンで事業を展開する企業として、
できる形で被災地への支援を進めたく思います。


▼Chances for everyone, everywhere (RareJob CEOの日記)
フィリピンの台風で被災した、弊社講師たちにつきまして



被災地に充実した通信環境を実現するため、
皆様からご支援いただければと思っております。


また、弊社の取り組みに限らず、多くの支援方法がございますので、
皆様のご支援をいただければ嬉しいです。


日本赤十字社
国連UNHCR(高等難民弁務官)協会
国連WFP
国境なき医師団
Yahoo!ネット募金
ユニセフフィリピン


また、フィリピンで出会った友人たちが、11月29日にチャリティーイベントを行います。
詳細は http://jpforph.org/ をご確認ください。



今後とも何卒よろしくお願いいたします。


深田