2016年11月30日水曜日

加藤ポールさんのこと

ほぼ一年振りのブログとなります。

創業期から弊社の役員である加藤順彦ポールさんが
新著「若者よ、アジアのウミガメとなれ 講演録」を出版されました。

若者よ、アジアのウミガメとなれ 講演録



臨場感ある文体なのですらすらと読めます。
加藤さんの投資先としてYOYOの名前もちょろっと書かれていますのでぜひ。

3年前の本とタイトルがほぼ一緒ですが、
内容や情報量はかなり大幅に加筆修正されています。

すでにいろんな方がレビューを書いていらっしゃるので、
ここでは加藤さんとの出会いのきっかけなど。
ちょっと長いです。すみません。



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加藤ポールさんと私は、2012年7月にセブ島で偶然出会いました。

私がたまたまラングリッチという英語学校のお手伝いをしている際に、
大きな声の関西弁で話しているオッサンオジサマがいらっしゃいまして。

「なんかエライ感じの生徒さんが来はったなぁ」

というのが加藤さんに対しての最初の印象でした。(すみません


当時の英語学校の社長に
「弊社の投資家なんですよ、ご紹介しましょうか」
と聞いたとき、
ああ、だから普通の生徒さんと雰囲気が違うんだ、と納得したことを覚えています。

「投資家ってなんだかよくわからないけど、
 せっかくなのでいま考えている事業案とかプレゼンしてみるか」
と軽いノリで加藤さんのお時間をいただきまして挑んだところ、、

「全くダメ」
「ニーズない」
「筋が悪い」
「そもそも新興国では〜」
「そういう慈善事業っぽいやつとか、社会起業家とか、NPOとか、ものすごく嫌い」

といった感じで。
けちょんけちょんに言われました。

さらには、自分が先月までDeNAに在籍していたことを伝えると
「そうなの?僕はDeNAの創業直後に出資していたんだよ。川田さんとは学生時代から親しくて」
と言われ、
(ほんまかいな、うさんくさ。。)
と実は心の中で思っていました。(すみません


ただ、お話の最後に、
「9月にもう一回来るので、そのときにアップデートあったら聞かせてください 」
って言われたんですね。


あ、チャンスだ。
リベンジできる。
次回はギャフンと言わせてやる、って思ったんです。


それから事業案やコンセプトなどを再度検討し、いろいろ調査して、
9月11日にセブ島のアヤラモールにあるスタバで加藤さんにリベンジプレゼンしました。


プレゼン中、加藤さんは前回と全く反応が違い、ずっと黙っている。


たぶん15分くらいだったと思います。

一通り話し終わった後、加藤さんが一言


「面白い」


って言ったんです。

その後、畳み掛けるように、

「で、今後どうするの」
「え、日本に会社作るの?わかってない。全然だめ。絶対にシンガポール」
「いま全部伝える時間ないので、今夜じっくり話そう。時間ある?」
「お金いくら持ってるの?え、それだけ?全然ないじゃん。だめじゃん」
「深田さんが必要であれば、出資と経営に参画します。不要であれば断ってください」
「不要の場合でも、シンガポールでの会社設立は支援できます」
「*▼☆$△✕◆ଫ&◯#ਚঝӨআಊ」

とマシンガントーク。

その夜、韓国料理屋で食事し、飲み、場所を変え、合計6時間くらい。
じっくりとお話いただきました。





ギャフンと言わせるためだけだったので、この展開は完全に想定外。

当時の私は会社員を辞めたばかりでした。

それまでの私の経験といえば、事業やサービスを考えたり、KPI伸ばしたり。
営業やマーケティング、コーポレートまわりなど、幅広くいろいろやってきましたし、
インターネットサービスは大好きで結構わかっているつもりだったのですが、
恥ずかしながら、スタートアップ、というか、お金のことについて全然知りませんでした。

出資?借金?融資じゃない、、よね?担保とか連帯保証とか必要なの?ってレベル。
本当になにもわからなかったので、あわてて賢い友人たちに相談しまくりました。


「加藤さんっていうエンジェル投資家?に出資するって言われたんだけど、、、詐欺かな」
「コテコテの関西弁だし、ダイヤルQ2とか言っているし、やたらとツイート多いし、、」
「シンガポールとか投資とか、なんか要素的にフラグ立ってるよね、、大丈夫かな、、」
「マイノリティで出資するとか、こちら側が都合のいいことばかり言ってきてくるんですけど、、」
「結局は騙され捨てられスッテンテンになるのかしら、、」


って、超不安でLINEしまくったんですが、なぜか賢い友人たちからは


「え、加藤さん超有名だよ。むっちゃ安心できるでしょ。まじ?すげーラッキーだよ」
「個人投資家からお金受けるときは普通反社チェックとかするんだけど、加藤さんは全く問題ないです」
「資本政策全然いいよ、そんなもんでしょ」
「起業のファイナンスよめば?」


と背中を押されまくりました。友人に恵まれました。


その後、ちゃんと勉強し、いろいろ考えた末、はじめてシンガポールに渡りました。
2012年10月10日、加藤さんにこちらから正式に依頼をし、
YOYOの会社設立と同時に取締役に就任いただきました。
(社名が「YOYO」ではなく「YOYO Holdings」となったのも加藤さんのご意見です)

以降、創業からこれまでの間、株主としてもずっと一緒に併走いただいております。


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加藤さんは、本当にビジネス、商売が大好きなんです。

ただ、本当にいつも驚くのですが、加藤さんご自身の利益に全く興味がないんです。

これまで4年間一緒に経営をしてきて、
大事な意思決定をするタイミングが何度もあったのですが、
その際、加藤さんからもいろんなご意見をいただきます。

その多く、特に資本政策まわりなどで相談すると、
(それ、加藤さんだけが損する提案ですよね)
(加藤さん、デメリットしかないじゃん)
っていうイレギュラーな提案をよくされます。(そしていつもマジです)

何度も言われているのは

「ふかちゃん、俺個人の利益なんて会社にとってどうでもいいの、
俺は会社が成功すること、利益を出せること、事業が大きくなることに興味があって、
それにとって一番よい打ち手を考えてやるべきなの。
俺は儲けなくていいの」
「俺は会社にとってのバッファ」
「俺が損して丸く収まるならそうしようよ」


って、真顔で提案してきて、ああこの人まじクレイジーだわ、って何度も思いました。
satisfaction guaranteed社のときも、株価を上げて買い増すっていう根性焼きをしているのですが、
そういうイレギュラーな提案を平気でしてきます。


加藤さんは投資家って印象ありますし、実際に投資/出資をしているのですが、
根っからの商売人で、経営者なんです。

投資家として、出資者としての立場で意見を言われたことは創業から一度もなく、
ずっと共同創業者、経営者として意見を交わしてきました。
私が至らない部分は怒られることもたまにありますが、
それでも、私のことを経営者として信頼してくださっていることをとても感じます。
利己的な考えは皆無で、商売の成功、という1点のみがエネルギーの源泉なんだな、と。

加藤さんとの対話と通じて、いつも、経営者としての心構えや視線などを学ばせていただいています。


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そんな加藤ポールさんの半生と若者に対してのメッセージを描かれた、
若者よ、アジアのウミガメとなれ 講演録 」。

加藤さんがこれまでどんな人生を歩んできたのか。
ご興味を持たれた方は、ぜひご一読いただけると、かなり面白いです。
若い頃からポリシーや哲学が全くぶれておらず、
50歳を目前に控えた今でも全身からパワーとバイタリティが溢れている、すごい方です。
とにかく、元気。元気。元気。ハイテンション。

あえて1点だけ上げるとすれば、

「アジアで起業する若手起業家を応援する」のですが、最近では
アジアが関係ない事業や、おっさん経験豊富な起業家、
を支援しているケースが増えてきており、

アジア x 若手起業家

のお話があまり出てきていないことが残念だったりします。

おそらく、加藤さんが求めるような若者が未だ少ないのでしょう。
そのため、学生向けに何度も講演されたり、こうして本を出版されたりして、
啓蒙活動から行われているんだと思います。


私も加藤さんから出資を受けたときは20代でしたが、もう若手ではなくなりました。


今後、加藤さんのウミガメメッセージが多くの日本の若者に届き、
加藤さんが求めるウミガメ族が多産される時代が来ることを期待しつつ、
私自身もそのウミガメ族である自覚を改めて持ち、
加藤さんに恩を返すためにもしっかりと成果をあげるべく、日々精進したく思います。



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